油分析で正しいデータを得るには、まず正しいサンプリングが重要ですが、意外に無頓着な方が多いようです。
大切なのは、潤滑先等へ供給される油清浄度がどうかということです。一方、油タンク内の油は均質ではありません。タンク底部には水分や汚染粒子が溜まっています。またノズル内等は入れ替わりが悪く、これをサンプリングしたのでは正しい結果は得られません。
ですから、流れのある配管に設置されたノズルから、ノズル内の油を十分ブローした後にサンプリングする必要があります。
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油の分析項目は数多くの種類があり、「油種」「対象設備」「汚染状態」で使い分けます。使用中の油の状態をチェックする方法として、一般的なのは以下の4項目です。
分析項目 | 単 位 | 説 明 |
汚染度 (質量法*) *=ミリポアフィルター |
mg/100ml | 目開き0.8μmのろ紙で油を濾し、ろ紙の質量変化でコンタミ質量を測定し油100ml中のmgで示します。粒度法に比べ細かな粒子までを対象としています。 |
水分 |
質量ppm 質量% |
精度により「ppm」と「%」がありますが、通常はppmをお勧めします。 |
酸価(全酸価) |
mgKOH/g | 劣化生成により増加する有機酸(酸化スラッジ)量と添加剤由来の値の合計を表します。 |
動粘度@40℃ | mm2/s | 汚染により多少変化します。他油種混入や、高温環境下で軽い成分が蒸発することで変化することがあります。 |
粒径範囲別の汚染粒子数を画像処理で数え、基準数値と比較して示すもので主に以下の2つがあります。
分析項目 | 単 位 | 説 明 |
NAS等級(NAS1638) 2019年6月に分析終了 (校正標準試薬供給終了) |
等級 | 5μ以上と比較的大きな汚染粒子を対象としています。5つの粒径範囲それぞれで基準値と比較して等級を出し、総合判定は最も悪い(大きい)等級で示します。 |
ISO等級(ISO4406) |
等級 | NAS等級より詳細な結果が示されます。 |
酸化安定性を実験室的に評価する方法の一つです。タービン油の残存寿命を評価するのによく使われています。