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工場や倉庫における暑さ対策とは

気温及び暑さ影響動向  

年次の平均気温は地球温暖化の影響で上昇傾向にあり、日本の平均気温の基準値(1981~2010年の30年平均値)からの偏差は+0.92℃。長期的には100年あたり1.24℃の割合で上昇しており、特に1990年代以降、高温となる年が頻出している傾向にあります。

(出典 気象庁 https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_jpn.html

 日本の年平均気温偏差

 

それに伴い熱中症による救急搬送者は増加傾向にあります。熱中症患者の発生は、高温の日数が多い年や異常に高い気温の日が出現すると発生が増加し、ここ数年、特に2010年以降、大きく増加していることがわかります。(出展 環境省 https://www.wbgt.env.go.jp/

 

 

1.感じる暑さは何で決まるか?

暑さを示す指標として、多くの人がまず気温を挙げます。しかし感じる暑さは、「気温」、「放射熱」、「湿度」、「対流(風)」等の総合で決まり、気温以外、特に放射熱の影響への考慮が足らないことが多いです。「伝導熱」も無関係ではありませんが、特殊な場合を除き影響は軽微とみなせます。

 

2.暑さを測る方法 WBGT

暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)とは、人間の熱バランスに影響の大きい「気温 湿度 輻射熱」の3つを総合的に評価したものです。

 

 

3.暑さ対策方法

暑さ対策の代表的手法を以下に示します。様々な方法がありますが、望ましくは原因の元を断つ発生源対策です。

輻射熱

(放射熱)

を減らす

(発生源対策)

内部熱源
(輻射熱)
対策
遮熱シート  室内に炉などの高温物がある場合は、その設備を遮熱します。環境(ダストや油煙)や目的に応じた施工方法が考えられます。放熱ロスの減った分、省エネになりますので経済的メリットが大きいです。
 遮熱塗料  設備の表面に遮熱塗料を塗ります。多くの塗料メーカーから「高温には向かない」と聞いております。
太陽の日差し(輻射熱)
対策
 遮熱シート  屋根や壁の表面放射温度が概ね気温+20℃以上あれば対策を考えた方がよいでしょう。しかし、建屋の構造、内部の状態、などにより施工場所や素材選定は様々考えられます。室内に熱源がある場合、遮熱シートはその熱も反射しますので、内部熱源対策を先行しないと返って暑くなる場合も考えられます。
 遮熱塗料  殆どの塗料メーカーが販売しており屋根上施工が一般的です。鳥の糞などの汚れの影響を受けます。
 断熱シート  屋根上に薄い断熱シートのパネルを置き、屋根を日陰にする方法です。

 屋根上散水

 気化熱で冷やす方法ですが、一般に凹凸のある屋根全面を濡らすことが難しいため効果は限定的で、水道代というランニングコストがかかるため、投資効率が高いとは言い難いでしょう。
窓対策

遮熱フィルム

  窓等向こう側が透けて見えないといけない場合に有効です。窓が割れた際飛び散らない為の二次災害防止にも。しかし投資回収年収が長くかかります。
 ガラスコーティング  フィルムと同じく光を通す分、投資回収年収が長くかかります。職人でないと施工が難しく、劣化すると割れたり変色します。

周囲の気温

を下げる、

強制対流

 換気

 換気が悪くて気温が高いのであれば、まず換気を考えます。

・自然換気:窓やドアの開放等で、動力限を使わずに換気する方法です。

・強制換気:押込、或いは吸気ファン・ルーフファン等を設置し、強制的に風を起こします。

 ミスト噴射  ミストを噴霧することで気化熱が奪われ気温が低下します。しかし湿度は上昇しますので、室内の場合は換気とのセットで考えねばなりません。
エアコン等による冷却  スポットクーラーやエアコンでの冷却が多用されていますが、イニシャルコストに加えランニングコストも多大なことから、発生源対策を先に考えた方が賢明なケースが多いと思います。
周囲の温度を下げる

高湿度流体の発生を減らす

(発生源対策)

 室内にある蒸気トラップがある場合、「排出口室外へ移す」「不良気味のトラップを整備する」等の発生源対策が考えられます。
高湿度流体を室外に排出  換気により蒸気を室外に排出します。
エアコンによる除湿等  コスト的にはなるべく避けたい方法です。
個人個人の服装の工夫 空調服  ファン付きやドライアイス入りのベストなどがあります。
ヘルメット  ファン付き、遮熱シート付きがあります。
冷感グッズ  頭に巻く冷たいタオル等のグッズがあります。